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食道がん

食道癌は胃癌や大腸癌などと比べるときわめて予後の悪い癌です。高齢者に多く, かつ解剖学的にリンパ節転移や隣接臓器(大動脈,肺,気管支など)浸潤を起こしやすいことが一因です。 これまで手術が最も有効な治療法とされてきました。食道は体の中心部を通る臓器であるため、 食道の手術は体への負担が大きく難しい手術とされてきました。 しかし近年,鏡視下手術の導入や術後の呼吸・循環管理の発達や栄養療法などの進歩により 手術による合併症の発生や死亡率は著しく減少しました。 また早期癌では内視鏡的治療だけで治癒が期待できます。 扁平上皮癌であり,放射線への感受性が比較的高いという特徴があります。 さらに抗癌剤と放射線を同時に併用すると 放射線の効果がより高まるため、高度進行・全身状態不良で手術不能な場合や内視鏡治療の適応とならない広範囲の早期食道癌に有用です。

治療法

内視鏡的治療・外科療法・放射線療法・化学療法・化学放射線療法・食道ステント挿入療法などがあり、これらの治療法を食道癌の進行度や患者さんの全身状態によって使い分け、また組み合わせて行っています。

内視鏡的治療

比較的小さく、食道の粘膜内に留まる早期食道癌では内視鏡的粘膜切除をおこなっています。術後2,3日で食事摂取が可能で、約5日程度の入院が必要です。 癌が完全に取りきれており、粘膜内におさまっている場合はこの治療でほぼ完全に治癒が期待できます。癌が粘膜下層に浸潤している場合は追加治療が必要です。合併症としては、出血・食道穿孔・狭窄があります

外科的治療

がんが粘膜下層より深く浸潤している場合は高率に周囲のリンパ節に転移するため、このリンパ節をきれいに取り除く(郭清)ために手術が必要となります。 手術は,癌の占拠部位によって術式が異なります。

食道がんの種類と治療方法

胸部食道癌

がんが小さく頸部の食道にとどまり、周囲へのがんの拡がりもない場合は、頸部の食道のみを切除し、頸部のリンパ節廓清(リンパ節を脂肪組織などひとかたまりとしてとり除く手術)を行った後、小腸の一部(約20㎝)を下咽頭と食道 (胸に近い切断端)との間に移植する再建する術式が行われます。なお、移植腸管は血管を頸部の血管とつなぎ合せることが必要です。
進行したがんでは、頸部食道と咽頭をともに切除し両側の頸部リンパ節廓清の後、小腸の一部を咽頭と胸部食道の間に移植します。そして気管の入り口を頸部の最下端中央につくります。すなわち、失声の状態になります。
さらに、頸部食道のがんが胸のほうの食道にまでおよんでいる場合は、胸部食道と同様に右の胸を開け、旨の食道、胸の中のリンパ節廓清も行う必要がでてきます。 この場合の再建は胸部食道がんと同様、胃を代わりの食道として用います。この場合下咽頭方向へのがんの拡がりが少なければ声は残せます。


胸部食道癌

開胸開腹食道切除再建術

右側から開胸して胸部食道を全部摘出し、胸部とふくぶまたは頸部の2ないし3領域のリンパ節を廓清します。 食道を切除した後の再建法として、胃や大腸などを吊り上げ切離した頸部食道とつなぎます。 最も一般的な方法として全国的に行われてい ますが、胸部・腹部・(頸部)を同時に大きく切開するために負担の大きな手術です。


鏡視下食道切除術

開胸開腹食道切除再建術と同様の操作を胸腔鏡と腹腔鏡を用いて行う方法です。胸部には6箇所の小孔をあけ、腹部には7cmの開腹創と2-3箇所の小孔をあけてこの創や小孔から内視鏡や手術器具を挿入してモニター画面を見ながら手術を行います。 創が小さいため、術後の創痛が少なく、十分な深呼吸ができる事や、術後早期の離床が可能となるなど大きな利点があります。手術で切除する範囲は開胸開腹手術と同じであり、根治性が損なわれることはありません。
しかし、鏡視下食道切除は高度の技術が必要であり、一般的には普及していません。当科では2003年から本邦にて最高レベルの技術を持つ外科医の指導の下にこの術式を導入し、これまで約200例の経験があります。現在は手術可能なほとんどの胸部食道癌症例を適応としています。 現在は手術可能なほとんどの胸部食道癌症例を適応としています。


非開胸食道抜去術

腹部と頚部から食道を剥離し、胸をあけずに食道を抜き取る手術です。肺の機能が悪くて、開胸手術や鏡視下手術ができない場合が対応となります。 胸部のリンパ節廓清が不十分となるため、リンパ節転移がある場合には根治性がやや劣りますが、開胸を行わないため肺に与える負担が少なくてできるメリットがあります。


腹部食道がん

腫瘍が食道の下端にあるため、胸部上部食道周囲の宋さを行わない場合は、左開胸・開腹による下部食道・噴門部切除・リンパ節廓清を行います。



食道がんの術後合併症

肺合併症,縫合不全が最も多い合併症です。
しかしながら近年,鏡視下手術の導入や術後の呼吸管理と気管支鏡による除痰により,肺合併症は減少傾向にあります。また,再建術式の工夫や術後の栄養管理により縫合不全も減りつつあります。 その他の合併症としてリンパ節郭清に伴う反回神経麻痺によるさ声,誤嚥、縫合不全などによる縦隔炎、乳び胸等があります。

食道がんの化学放射線療法

放射線療法時に抗がん剤を同時に投与する方法です。抗がん剤には放射線の作用を増強する作用があり、放射線単独療法に比べて高い効果が報告されています。 また放射線照射部位以外の病巣にも抗がん剤が有効に作用する場合もあります。放射線照射は局所にほぼ限界線量を照射するため一度しかできません。
近年この方法の有効性が報告されるようになり、手術に代わって傷をつけずに食道を残したまま食道がんを治す方法として注目されています。 特に病期Ⅰの表在食道癌に対しては手術とほぼ同等の治療成績であることが判ってきました。
しかし術前に診断できない微小なリンパ節転移を制御するためには広範囲に照射しなければならない事や、手術と違い食道がんを完全に消失させられない場合もあるなどの問題があり、進行食道がんに対する治療成績は手術よりも劣ります。
進行度Ⅱ・Ⅲ期の場合,治療後がんが一時的にでも完全に消える確率は約70%で、その内の半数がその後の経過で再発します。 再発後に治癒を望む場合は外科手術(救済手術)が有効ですが、根治的化学放射線療法後の手術は初回手術時と違い手術が難しく、手術の死亡率や術後の合併症の発生率が高くなると報告されています。 副作用としては放射線の副作用と抗がん剤の副作用が両方見られます。特に放射線の副作用は抗がん剤投与により増強して表れます。  化学放射線療法後数年して表れる放射線性肺臓炎や心嚢炎などの晩期合併症による死亡率は5%程度であると報告されています。 
当科では、病期Ⅰで化学放射線療法を希望された場合や身体の状態が悪くて手術に耐えられない患者さん、または癌が進行して周囲の気管や大動脈に浸潤して手術が危険な場合に行っています。 治療には6~7週間かかります。抗がん剤を同時に投与するため入院治療が安全ですが、抗がん剤投与のない時期には外来治療も行っています。 身体の状態がよくても手術を受けたくないため化学放射線療法を希望される患者さんに対しては化学放射線療法を行った後で癌が残った場合には手術を行うしか方法がない事とその手術は, 危険が高くなることを御理解頂いております。

化学療法

遠隔臓器(肺・肝・骨)などがあり、手術や放射線治療では治癒が望めない場合は積極的に化学療法を行います。 近年は食道癌に対する標準的化学療法である CDDP・5FU併用療法(FP療法)にDTXを加えた強力な化学療法(DCF療法)を行う事が多くなっています。  化学療法は単回治療では治癒が望めませんが繰り返し行うことで腫瘍の縮小をはかり延命をはかります。
また近年では手術適応のある進行食道癌の再発予防を目的として手術前後に抗がん剤投与を行います。最近の研究により抗がん剤は手術前に投与したほうが手術後投与よりも成績が良いことがわかっています。 副作用としては白血球・赤血球・血小板低下などの血液毒性と非血液毒性としての悪心・嘔吐・食欲不振・下痢・口内炎・腎障害・脱毛などがあり、副作用対策を行った上で必要に応じて減量投与が行われます。

食道がんの生存率

以上のように現状では外科療法が主な治療法であり、その治療成績(5年生存率:手術後5年間に生存している割合)は、最近の10年間急速に向上しています。 特に早期食道がんでは内視鏡的粘膜切除(EMR)のみでも根治手術と同等の良好な成績が報告されています。 現在全国的な外科療法の全5年生存率(他の病気での死亡も含む)はだいたい進行度Ⅰ期77% Ⅱ期60% Ⅲ期39% IV期24%程度と報告されています。
また当科での平成27年3月現在での鏡視下手術による5年生存率(他の病気での死亡も含む)は、治癒手術(癌の残しがない手術)の場合進行度Ⅰ期83% Ⅱ期76% Ⅲ期70% IV期49%、非治癒手術8%であり、治癒手術時には全国成績と比べ大変良好な治療成績となっています。 進行度IV期のがんに対する治癒療法は確立されていませんが、当科では術前化学療法をおこなった後に鏡視下手術を行い、明らかな遺残なく切除が行えた場合は大変良好な成績となっています。 また癌が完全に取りきれなかった場合は術後化学放射線療法を併用して根治を図っています。

食道がんの治療成績